「食品規制のおはなし ～その２～」

今回からは、世界の国や地域ごとの食習慣や文化、食品規制などについて紹介したいと思います。先ずは我が国のお隣にある中華人民共和国（以下、中国）です。

中国はアジア大陸の東部に位置するとても広大な国です。人口は１４億人以上、面積は日本の２５倍あり、１４の国と国境を接しているため、国内でも地域により食習慣や文化に違いが見られます。内陸は四川料理、南部は広東料理、北は北京料理、東部沿岸は上海料理などに大きく分けられ、どれも日本ではお馴染みの料理です。

ちなみに、中国で主食といえばお米や麺、蒸しパン（マントウ）などですが、これも北部では小麦を使った麺類やマントウ、南部では主にお米を食べるなどの違いがあります。

中国は国土の大きさや多くの国と国境を接していることから、料理に使う食材も地域によって多種多様ですが、とりわけ、これら多彩な食文化を支える食品材料の生産には力を入れており、今では世界屈指の農業大国であり、食品輸出国でもあります。

近年、経済成長に伴って消費者の食に対する安全志向が高まり、有機食品の市場規模は年々成長しています。元々、中国には「食薬同源」の考えや、冷たいものをあまり食べないなど、健康志向の食習慣や文化が根付いていました。現在では、国家食品医薬品監督管理局が中心となって食の安全強化に取り組んでいます。農林水産省の令和2年度食品規格等調査によると、中国政府は、食品の安全性を国の政策と規制における最優先分野と位置付けていて、「食品安全法」、「農産物品質安全法」、「消費者権利保護法」、「輸出入商品検査法」などの法的枠組みや、国内及び輸入品の両方に強制的に適用される「国家食品安全基準」が定められています。食の安全に厳しい欧州連合(EU)が中国産有機食品を継続的に輸入していることからも、その安全性の高さを伺えます。

近年、我が国でも消費者の輸出入食品に対する安全性に注目が集まっていますが、こうしたコラムを書くようになって、私自身も商品購入時に原産地情報への関心が高まってきました。