食品添加物のおはなし

　食品添加物は、現代の食生活において欠かせない存在であり、保存性や風味、見た目の向上など多くの目的で様々な食品に使用されています。

　着色料は食品に色をつけたり変色を防ぐことで、食欲を増す効果があり、また、保存料や殺菌料などの食品添加物は微生物の繁殖を抑え、食品の安全性を高める役割を果たしています。例えば、ソルビン酸は微生物には分解されにくく、腐敗を防ぐ効果がある一方で、人間の体内では安全に代謝されることが確認されています。このような性質を持つ食品添加物は、食品ロスの削減にも寄与しており、賞味期限の延長や流通の安定化に役立っています。
　「無添加」や「自然由来」といった表示が好まれることもありますが、天然物であっても過剰摂取すれば毒性を示すことがあります。食品添加物は、保存性や風味の向上、品質保持などを目的として使用されますが、その安全性は「摂取量」によって左右されるものが多くあります。過剰摂取は健康に悪影響を及ぼす。これは、塩や水などの身近な物質にも当てはまる原則であり、食品添加物についても同様です。食品添加物は目的・用途により使用可能量が定められており、科学的根拠に基づいた適量の管理が安全性の鍵の一つとなります。

　食品添加物の安全性は「一日摂取許容量（ADI）」という指標によって評価されています。これは、ヒトが毎日一生涯摂取しても健康に悪影響を及ぼさないと推定される量であり、動物実験などをもとに設定されています。例えば、保存料として広く使われるソルビン酸のADIは25mg/kg体重/日とされており、日本人の平均体重50kgで換算すると1,250mg/日となります。実際の摂取量はこの基準を大幅に下回っており、厚生労働省の調査によれば、日本人一日当たりの平均摂取量はADIの1%未満の物質がほとんどのようです。
　食品添加物の適正使用は「検査」により確認されています。厚生労働省では「食品中の食品添加物分析法」や「妥当性確認ガイドライン」を定めており、販売用食品の輸入の際には厳しい基準に適合した登録検査機関が検査を実施しています。分析法は、対象物質の検出限界や精度、再現性などを考慮して設計されており、食品による健康危害の防止や食品の信頼性向上に貢献しています。

　このように食品添加物は適切に使用され、精密な分析によって監視されることで、安全性が確保されています。

　弊協会では輸入時の命令検査や自主検査の他、油脂に含まれる酸化防止剤の検査など様々な食品添加物検査を実施しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。