「MSPO認証について」

日本は、主にマレーシアとインドネシアからパーム油を輸入して、食品や洗剤その他、日常生活に欠かせない製品の原料として消費しています。パーム油はアブラヤシの実を絞った果汁から油分を取り出して精製します。マレーシアやインドネシアでは、世界中で増え続けるパーム油需要に合わせて国内のアブラヤシ農園の開拓を進めてきました。

近年、マレーシア政府はマレーシアのパーム油の持続可能性を確かなものにするためにMSPO（Malaysian Sustainable Palm Oil）という認証制度を立ち上げました。マレーシアパーム油庁（MPOB）の監督のもと、マレーシア政府機関であるMPOCC （Malaysian Palm Oil Certification Council）＝マレーシアパームオイル認証評議会が制度を運営します。

MSPOの基準は国連のSDGｓ（持続可能性開発目標）に準拠しています。

またMSPOでは農園経営者に7つの原則を守らせることとしています。

①MSPOの要求する基準について継続的な内部監査と改善を行う②情報の透明性と製品のトレーサビィティを確保する③法的要件の遵守（人権の尊重・健康・安全・雇用条件など）④社会的影響評価の実施・対処、地域の持続可能な開発、従業員の健康と安全、雇用条件、職能向上訓練などに配慮する⑤環境、天然資源、生物多様性、生態系への配慮（温室効果ガス排出への対策）⑥最良の実践モデルを開発して生産性を高める⑦守るべき自然の範囲では農作物の植栽を禁止し、合わせて周辺地域社会への影響について十分配慮すること。

耕作面積100エーカー（40.47ヘクタール）未満であり且つ組織されない独立した小規模農家、100エーカー未満だが組織化されている小規模農家、100エーカー以上の耕作面積の大規模プランテーション、そして国内のパーム油関連業者に対してそれぞれ一般原則を設けて認証を受けさせ、マレーシアでの認証率100パーセントを目指しているとのことです。

MSPOのサプライチェーンを調べているMSPO Traceのホームページによれば2021年6月時点で約587万ヘクタールといわれるマレーシアのアブラヤシ農園の耕作面積のうち約89％にあたる約525万ヘクタール及び511のサプライチェーンがすでにMSPO認証を受けているとしています。ＭＰＯＣＣでは小規模な農家への支援・教育を通じて、国内の農園全てをMSPO認証の下に置く努力を続けるとしています。

なお日本国内のMSPOサプライチェーンについては、独自の派生基準としてMSPO Simple Verification Scheme(ＳＶＳ方式)が開発され、その運用の準備が進められており、弊協会は日本における上記ＳＶＳ方式による検証・監査をMPOCCの代理として行う予定です。

以　上