「GE,3-MCPDEについて」

油脂の主な成分はグリセリンと脂肪酸がエステル結合したトリグリセライドになります。結合する脂肪酸の種類や位置の組合せなどにより、多くの種類が存在します。大豆、菜種、綿実、ひまわりなどの植物由来と牛や豚などの動物由来の油脂原料等から搾油された原油(粗油)を精製して食用油脂が製造されています。

3-MCPDへの対応は1990年代後半以降に中国・東南アジアから欧州に輸出された調味料から高濃度に検出され、世界的に注目されたのが始まりです。

近年の分析技術の進歩もあり、油脂の精製工程でGE(グリシドール脂肪酸エステル類)と3-MCPDE(3-MCPD脂肪酸エステル類)が意図しないにもかかわらず生成され、食用油脂及びその油脂を使った加工食品にごく微量含まれることが判ってきました。

日本では農林水産省が国内事業者と協力し、含有実態調査や自主的な低減のための取り組みを支援しています。農林水産省のホームページによりますと、食品関連事業者に向けて、低減のための手引きが出され、油脂原料の管理から搾油・精製工程においても様々な取組みが行われています。

また、MCPDEの日本における国民平均の摂取量は、合同食品添加物専門家会議(JECFA)が設定した耐容一日摂取量(TDI)を大きく下回っており、また農林水産省が平成24・25年度に調査した結果、日本で流通している食用植物油脂に含まれる3-MCPDE 及びGEの濃度は諸外国に比べて低い傾向にあったとのことです。

GE,3-MCPDEの分析法に関しては、結合している脂肪酸の種類を区別せず加水分解された、遊離型である3-MCPDやグリシドール濃度を測定する間接分析法と、個々の脂肪酸エステル体の濃度を測定する直接分析法などがあります。

弊協会では油脂を検体として、アメリカ油化学会公定法(AOCS法)のGC-MS法による間接分析法でのご依頼をお受けしています。

なお、食品中のGE,3-MCPDEの含有実態調査などについては農林水産省のホームページに詳しく記載されていますので、そちらをご参照ください。